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スーパーで売れられている『ししゃも』は偽物

豆知識
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昔から質素な食事風景の定番として日本で愛されてきた『ししゃも』という魚。

多くの日本人が当たり前に「自分はししゃもを食べたことがある」と思っているかもしれませんが、実は近年、本物のししゃもを食べたことがない人の数がかなり増えているんです。

その理由はスーパーで売られているししゃものほとんどが偽物だからです。

今回はそんなししゃもの偽物について書いていきたいと思います。

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ししゃもの偽物の正体

ではスーパーで売られているししゃもの偽物とは一体何なのでしょうか?

それは、『カペリン(カラフトシシャモ)』という魚です。カペリンは販売の際に「ししゃも」とだけ呼ばれることがあるので、区別するために本物のししゃもは『本ししゃも』とも呼ばれることがあります。

出典:http://dosugoi.net

スーパーで別々にパックされている状態だと違いが分かりづらいですが、こうして並べて見てみると大きさも色も違います。ししゃもの方はキスのようなピンクゴールドの色味が美しいです。

鱗でも違いが分かり、本物のししゃもは鱗が大きく目視ではっきりと確認できますが、カペリンは鱗が非常に細かく目視が難しいです。

また、本物のししゃもは口が大きくて上を向いています。カペリンは口がまっすぐで、体型も相まって小さくなったサンマのような見た目をしています。

獲れたばかりの状態の写真だともっと違いが分かりやすいですね。

出典:https://syoku-life-labo.com/

このような見た目の違いもあり、カペリンはししゃもの偽物であることに違いはありませんが、生物学的な分類で両方の魚を見てみると、同じ『サケ目キュウリウオ科』となっています。

これを考えるとカペリンとししゃもは遠い親戚のようなものですね。

一番肝心な味の違いは?

では、お互いに遠い親戚のようですが、一番肝心な味の違いはどうでしょうか。

ししゃもの味

本物のししゃもの方が癖がなく味がしっかりとしていて身の付きがよくぷっくりとしています。火を通すとホックリとしていますが、脂が乗っていて卵の味も濃厚です。新鮮な個体だと鮎と似たキュウリのような爽やかな香りがあります。

カペリンの味

それに比べて、カペリンは少し青魚系のような風味を感じます。身の付きが少し悪く細長い印象で、ホックリ感も本物のししゃもに劣ります。脂があまり乗っていない個体も多く、卵の味はあっさり目です。

どちらが美味しいか

やはり、どちらかというと脂が乗っていて癖がない、ししゃもの方が食べやすくて美味しいです。ただ、魚を食べている感じがするのはカペリンですね。

基本的にはししゃもが万人受けするとは思いますが、キュウリのような独特な風味が苦手だったり、青魚系の臭いが好きな方はカペリンの方が好きかもしれません。あとカペリンは大きい個体が多くて食べ応えがあります。

育ち方も全然違う

遠い親戚なはずなのに味に結構な違いがあるようですが、それはなぜなのでしょうか。

大きな要因は育ちの違いにあると考えられます。

ししゃもの育ち方

ししゃもは北海道の太平洋側だけに生息します。うなぎや鮭と同じように川で生まれて海で育ち、大きくなったらまた川に遡上してくる魚です。獲れる量も少なく、貴重な魚となってしまっています。

カペリンの育ち方

それに比べて、カペリンは生まれてから大きく育つまで、全ての期間を海で回遊しています。地球の北側、寒い海流に広く生息していて多くの国で獲ることができます。

育ち方で味に違いが出る

このようなの育ち方の違いから、本物のししゃもには川魚特有のキュウリのような風味が生まれ、カペリンには青魚系の風味が生まれるんですね。

同じサケ目キュウリウオ科の魚でも、このちょっとした風味の違いで全く味が変わってしまいます。

スーパーでカペリンばかりが並ぶようになった理由

そもそも、なぜスーパーで本物のししゃもが売られることが少なくなり、代用魚としてのカペリンばかりが並ぶようになったのでしょうか。

その理由はししゃもとカペリンの漁獲量と獲れる時期の差にあります。

北海道の太平洋側にしか生息していない本物のししゃもは「北海道むかわ町の町魚」と言われるくらい限られた地域で、卵を持つ11月~12月にしかししゃもを獲ることができませんが、カペリンは寒い海流が流れている多くの国で一年中大量に獲ることができます。

また、本物のししゃもは日本人が乱獲し過ぎた過去があり、漁獲量が制限されてしまっているのです。

このような背景から、本物のししゃもの漁獲量が年間1,500トンなのに対し、カペリンの輸入量は年間20,000~30,000トンと圧倒的な差が生まれてしまいました。この流通量の差もあり、日本のスーパーでは1970年代以降からししゃもの代わりとしてカペリンが並ぶようになりました。

流通量の差は値段にも

カペリンは外国からいくらでも安く輸入できるために1匹あたり50円もしませんが、乱獲のせいで貴重になってしまった本物のししゃもは1匹あたり100~300円程度もするので、流通量の差は値段にも大きく響いています。

確実に見分ける方法

本物のししゃもと偽物のカペリン、見た目でも大きな違いがあるので判断はできるのですが、いかんせん実物を見比べたことがないと自信を持って見分けることはできないですよね。

そんな時には、原材料名を確認すると魚の本当の名称が記載されているので、簡単に判別できます。

出典:http://ridinghigh.cocolog-nifty.com/blog/

カペリンの子持ちししゃもには要注意!

そして、ししゃもを買う時には本物偽物だけではなく、もう一つ注意してほしいことがあります。

それはカペリンの子持ちししゃもが実はオスだったパターンがあるということです。

「オスなのに子持ちってどういうこと?」って思いますよね。実はオスのお腹の中に注射器で卵を詰めて売っている場合があるのです。

出典:https://minkabu.jp

オスに無理矢理卵を詰めると不自然にお腹が膨れるのですぐに判別できるとは思いますが、この事実を知らないとそもそも疑いもせず買ってしまうので、頭の隅に覚えておいた方がいいと思います。

※なぜこんなことをするのかというと、オスのカペリンの商品価値が低過ぎて売れなかったり利益がなかったりするので、商品価値をメスと同等まで引き上げるためらしいです。

最後に

以上がスーパーで売られている子持ちししゃもの秘密となります。

私達日本人の乱獲のせいで本物のししゃもが貴重になってしまった以上、大量に獲れるカペリンに頼っていかなければいけないので、味の違いには目をつぶってこれからも美味しくいただくべきですね。ただ卵の注入だけは、詐欺で騙された気分になるのでホントやめてほしいです。

本物のししゃもは市場に出回る数がもの凄く少ないらしいので、もし見つけた方は是非購入して味わってみてはいかがでしょうか。漁のシーズンである11月~12月に探せば見かけることがあるかもしれません。

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