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馬肉だけは『馬刺し』で生食できる理由

豆知識
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近年、牛のレバ刺しの販売が禁止されたりして生肉好きの方には生き辛い世の中になっていますよね。

そもそもなぜ牛肉や豚肉を生で食べたらダメなのでしょうか。鶏肉には鶏刺しがありますが、あれは表面を炙っているので正式には『鶏のタタキ』になってしまいます。

そんな中で馬肉だけは『馬刺し』として生の刺身での提供が当たり前で、未だに禁止されてもいません。

なぜ馬肉だけは大丈夫で他の肉は生食禁止なのか、今回はそんな疑問を解決していきたいと思います。

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馬の体は寄生虫や細菌が繁殖しにくい

食肉を生で提供できるできるかどうかの判断基準として、寄生虫や細菌の有無があります。

そもそも馬は筋肉中に寄生虫が潜んでいる可能性がとても低いです。それは筋肉量がとても多く、体温が他の動物(牛、豚)と比べて高いので寄生虫や細菌が繁殖しにくいからです。

そんな馬にも唯一の寄生虫が

そんな馬にも唯一『サルコシスティス・フェアリー』という寄生虫がいます。

※『ザルコシスティス・フェアリー』と呼ばれる場合もあります。

馬の筋肉中に存在するのですが人に感染することはないので危険性はありません。ただし、感染している馬肉を食べると嘔吐や下痢などの軽い食中毒のような症状が現れてしまいます。

サルコシスティス・フェアリーは馬を中間宿主、犬を終宿主としていて長いもので1cmほどの長さに成長します。

『感染した犬の糞に汚染された飼料や水』を馬が口にすることで感染してしまうのですが、さらに『感染した馬の肉』を犬が食べることでまた犬に感染するので、犬と馬を循環するような生態をしています。

出典:http://www.maff.go.jp

厚生労働省の厳しい監査をクリアしている加工施設

では馬肉にとって唯一の問題であるサルコシスティス・フェアリーはどのようにして処理されているのでしょうか。

その処理は厚生労働省のガイドラインを厳しく守っている生食用加工施設によって行われています。世間で馬刺しが食べられいてもサルコシスティス・フェアリーによる食中毒が起きていないのはこの処理施設のおかげです。

サルコシスティス・フェアリーは-20℃で48時間以上の冷凍処理を行うことで完全に死滅させることができます。

この冷凍処理のガイドラインは厚生労働省より通達されていて、国内の生食用馬肉工場はこれを厳しく守っています。これに加えて工場に厚生労働省の監査が入ることによって、さらに冷凍処理の確実性が高められています。

馬肉加工を行っている工場は牛や豚の工場と違って数が少なく、全国で4箇所しかありません。その分監査の目も行き届きやすいので自然と高水準な処理を行う工場となります。

このように処理を行う工場のレベルが高いため、未だに馬肉だけは馬刺しとして生食が許されているのです。

それでも起きる食中毒事件の原因は?

馬の体は寄生虫や細菌に対してとても強く、馬肉となる際の加工処理も厚生労働省が監査している工場で行われるため、サルコシスティス・フェアリーへの対策は万全となっています。

しかし、そこまでしていても食中毒事件は0にはなりません。なぜでしょうか。

これは決して工場の冷凍処理不足などのせいではなく、馬肉を仕入れて提供するお店が食中毒の原因を作り出しています。

その原因を生み出すのは不衛生な環境での保存や調理です。

お店の仕入れルートなどでも食中毒になる確率は大きく変わってくるので、馬刺しを食べる際にはできるだけ信頼できるお店を選ぶことが重要です。

食べる際の体調にも注意が必要

それと馬刺しを食べるときの体調も気を付けた方がいいです。体が弱って免疫力が低下しているときには寄生虫や細菌に簡単に負けてしまうので食中毒が起きやすくなってしまいます。

これは馬肉だけに限った話ではないのですが、少しでも生の部分がある肉は体調が万全のときだけ食べるようにしましょう。

タタキでなら牛肉や鶏肉が食べられる理由

馬肉のように冷凍処理を行っていない牛肉や鶏肉ですが、新鮮なものであればタタキでも食べることができます。しかし、タタキは外側だけを炙る料理なので内部は完全に生のはずです…なぜ食べてもいいのでしょうか。ステーキなどの料理だってそうです。

まず大前提として、新鮮な肉の生食でも常に食中毒の危険性がありますが、この原因は元から肉の中に存在している寄生虫や細菌ではありません。販売までの過程のどこかで表面に細菌が不着してしまうことが主な原因です。

これらのことを踏まえて考えてみると、牛肉や鶏肉の内部には菌がいないので、表面にさえ火を通して殺菌すれば安全に食べることができるのです。

それでも万が一ということもあるので、殺菌作用のある薬味を一緒に食べて二重に食中毒を防いでいる場合も多いです。

また、私たちがよく食べている筋肉部分には基本的に危ない寄生虫や細菌は存在しませんが、内臓部分にはどちらも存在するので生食は絶対にできません。

豚肉だけはタタキでもダメな理由

馬肉は冷凍処理さえすれば生でもOK、牛肉と鶏肉はタタキならOK、では豚肉はどうでしょうか。

豚肉は昔から「よく火を通さないと危ない」と言われているように、生で食べてしまうと命にも関わるほどの危険性を持っています。

E型肝炎ウイルスやトキソプラズマ原虫が存在している可能性があり、牛や鶏に比べると非常に寄生虫や細菌が繁殖しやすいのです。

このようなことから豚の生食は厳禁とされています。

過去に豚肉の生食を10年間続けた人のレントゲンが話題になりましたが、それがこちらの画像になります。

身体中を寄生虫が這いずり回っているなんて考えただけで恐ろしいですよね。絶対に豚肉の生食はしないようにしましょう。

後書き

以上が馬肉だけは生で食べられる理由となります。

高体温で寄生虫や細菌を繁殖させないようにするなんて馬の体はすごいですね。加工施設での処理の水準の高さも素晴らしいです。

最終的に食中毒の原因を作り出してしまうのは提供するお店ですが、ここに関しては私達自身がお店選びをしっかりすることで対策できます。

これに加えて自分の体調を万全にしておけば食中毒の可能性は限りなく0にできるので、美味しい馬刺しを食べるためにこれらのことを気を付けましょう。

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