東京都内で男女358人を対象に行われたダニとスギ花粉に対するアレルギー反応の検査で、若い世代になるほどアレルギー体質が増えていることが判明しました。
清潔な環境で育つほど発症しやすくなってしまうアレルギーですが、何に対して発症してしまうかは人それぞれで異なります。
今回はたくさんの種類があるアレルギーの対処法を、タイプ別で紹介していきたいと思います。
花粉症
国民の4人に1人がかかっているといわれるアレルギー疾患の代表格です。春のスギ花粉を中心に多くの花粉がアレルゲンとなります。
- 目の痒み
- 充血
- くしゃみ
- 鼻水
- 鼻詰まり
本格的な飛散前に薬を服用しよう
花粉の飛散がピークになる前から免疫細胞が少量の花粉に反応し、鼻粘膜の周辺では炎症が始まり、IgE抗体がつくられ始めています。花粉が飛び始めたら早めに薬を服用することで免疫細胞の増加が抑えられ、重症化を防げます。
花粉の飛散時期をチェックしよう
花粉の飛散時期は毎年少しずつ異なるため、飛散開始時期を見定めて薬の服用をスタートしましょう。
リアルタイムで花粉飛散数を確認することができる環境省のwebサービス「はなこさん」や、その他の花粉飛散量を確認できるアプリを活用することをおすすめします。
根治が期待できる舌下免疫療法
現在、薬の服用による対症療法が中心ですが『舌下免疫療法』という原因そのものにアプローチし、根治が期待できる治療法も登場しています。
スギの花粉を希釈したエキスを数年間にわたって舌下に投与して徐々に耐性をつくり、実際のアレルゲンが侵入したときの症状を緩和させる治療法です。健康保険も適用されるので、本当に困っている方は挑戦してみることをおすすめします。
豆知識
子どもより大人の方が発症しやすい?
花粉に対抗するIgE抗体は徐々に体内に蓄積され、それが一定量を超えるとアレルギー症状を引き起こします。コップから水が溢れるように、体の許容量を超えると発症するのです。
年数をかけて蓄積するため大人の発症が多く見えますが、一方で花粉症は低年齢化も進んでいます。
ヨーグルトは花粉症に効果的?
食べ物などの異物に素早く反応する免疫器官でもある腸。ヨーグルトに含まれる乳酸菌が腸管を刺激すると免疫の働きを促すことは知られています。
しかし、それが超苦節アレルギーの改善に繋がるかどうかはまだ完全には証明されていません。
接触皮膚炎
天然ゴム製品や金属など、特定の物質に触れることで起こるアレルギーで、かぶれや痒みなどの症状を引き起こします。
- 痒み
- かぶれ
- 発赤
保湿で肌のバリア機能を高めよう
皮膚から異物が体内に入ると、タンパク質と結合し炎症が起きてしまいます。何に触れると炎症が起きるのかを突き止めるためには、病院で検査することをおすすめします。
乾燥した肌はアレルゲンが侵入しやすい状態です。肌を保湿してバリア機能をアップさせましょう。
アナフィラキシーの危険性があるラテックスアレルギー
天然ゴムに触れると、痒みや水疱などの皮膚炎症が起こるラテックスアレルギー。
医療従事者や炊事で毎日ゴム手袋を使うなど、ゴム製品に触れること多い人に起こりやすく、重度の場合はアナフィラキシー・ショックを引き起こす可能性もあります。自覚症状がある場合はアレルゲンに触れないように注意しましょう。
振れる機会が多い金属アレルギー
汗などによって溶け出した金属とタンパク質が結合し、アレルゲンとなることで痒みやかぶれが起きるアレルギーです。
時計のバンドやズボンの金属部分など、気が付きにくい金属製品が原因になっていることもあります。症状が出たら病院を受診しましょう。
豆知識
銀歯が原因で金属アレルギーになる?
歯科金属が唾液によって体液に溶け出し、それが一定量蓄積されると体が異物と判断、金属アレルギー反応が出ることがあります。
例えば、銀歯に含まれるニッケルがアレルゲンとなると、アクセサリーに含まれるニッケルに反応して痒みやかぶれが起きます。
虫刺されもアレルギー反応のひとつ
蚊に刺されるとぷっくりと腫れる反応は、実は即時型アレルギー反応のひとつです。
対して、腫れが引いた後にぶり返す痒みは遅延型アレルギー反応のひとつです。
アトピー性皮膚炎
特定の部位に強い痒みや発赤が現れるアトピー性皮膚炎。子どもに多い疾患ですが、大人のアトピーも増えています。
- 皮膚の発赤
- 痒み
- 首後ろの黒ずみ
- 関節部のかぶれ
薬を使ってコントロールしよう
アトピー性皮膚炎の炎症は根治は難しいですが、ステロイドを上手に使えば緩和できます。
皮膚表面は凹凸があり、薄くのばすと凹部分にだけ薬が溜まってしまいます。十分な厚みをもって塗ってはじめて炎症が起きている凸部分にも薬が行き届くので、上手に薬を塗ってアトピーをコントロールしましょう。
洗い過ぎに注意して皮膚を清潔に保とう
埃や花粉など肌についた汚れはアレルゲンとなるためしっかり洗い落とすことが大切です。ただし、日に何度もお風呂に入るなどの過度な清潔は肌を乾燥させ、バリア機能を壊してしまう結果となってしまいます。
若年層のアトピー増加の一因は清潔志向にあるとも言われています。清潔にしつつも、洗い過ぎに注意しましょう。
保湿ケアで肌を乾燥させないようにしよう
汚れを取ったあとは保湿ケアで肌のバリア機能をアップさせましょう。
アトピー性皮膚炎の皮膚はバリア機能が低下しています。保湿効果の高い成分『ヘパリン類似物質』などが配合されたスキンケア製品を顔や全身にくまなく塗布しましょう。
豆知識
肌が乾燥しやすい石けんは使わない方がいい?
皮膚には様々な菌が常在していますが、乾燥や炎症を起こすと黄色ブドウ球菌が発生し、じくじくとした炎症が起こってしまいます。
この時の膿などは菌と共に石けんで洗い流すことが治療の第一歩となります。保湿成分入りの石けんなどで洗い流しましょう。
ステロイドは使わない方がいい?
ステロイドとは副腎皮質ホルモンで、皮膚の炎症を抑える働きがあります。
過剰な使用は副腎皮質ホルモンの機能低下を招きますが、適量の使用は副作用も少なく、非常に効果が高い薬です。医師の指示に従って正しく使用しましょう。
食物アレルギー
毒性のない食べ物でも強い反応が出てしまうアレルギー。アナフィラキシー・ショックなど緊急性の高い症状が出る危険性もあります。
- 嘔吐
- 下痢
- じんましん
- のどの痒み
幼少期のアレルギーは改善されることが多い
子どもの食物アレルギーは年齢と共に耐性を獲得して改善することが多いです。しかし、成長過程でアレルゲンを一切遮断してしまうと、耐性が得られず治らないこともあります。
成長につれて対処の仕方は変わるので、医療機関を受診しましょう。
生後6ヶ月までは肌を保湿してアレルギーを予防しよう
乳児はまだ肌のバリア機能が整っていません。
「湿疹などから埃に含まれる食物成分が侵入→IgE抗体が作られてアレルギー体質になってしまう」という流れが多いため、赤ちゃんにはしっかり保湿ケアを行い、侵入経路となる乾燥や傷を作らないようにしましょう。
生後6ヶ月~学童期ではアレルギー食材にチャレンジしよう
食物アレルギー反応が出た場合も、徐々に耐性を獲得して学童期に入ると改善することがほとんどです。医師の指導のもと少しずつアレルギー食材にチャレンジしましょう。
アレルゲンを遮断せず定期的に取り続けたほうが免疫は正常に機能しやすいという研究結果が出ています。
大人~アレルゲンを避けて治療薬を携帯しよう
大人になってから発症した食物アレルギーは耐性を獲得するのが難しいため、以降アレルゲンを避けた方がよい場合が多いです。
アレルゲンを口にすると意識障害などの重篤な症状が出るアナフィラキシー・ショックが起こることもあります。心配な人は治療薬として有効なアドレナリン注射を携帯しましょう。
豆知識
じんましんが出た食べ物は全てアレルゲン?
アメリカで食物アレルギーを自覚する人は全体の約25%もいたのですが、ブラインドテストを行ったところ本当に食物アレルギーだった人は、わずか2%だったという驚きの調査結果があります。
じんましんが出る理由は体調不良など様々です。症状が繰り返されるなど気になる場合は、一度アレルギー検査を受けてみましょう。
アレルギーの連鎖を防ぐには乳児期のケアが肝心
乳幼児期にアトピー性皮膚炎や食物アレルギーになると、症状が改善する3歳頃に気管支ぜんそくの症状が改善する10歳前後に花粉症になる傾向が。
少なくとも生後6ヶ月までは肌の保湿を徹底し、皮膚からアレルゲンを取り込まないようにすることが、その後のアレルギーの予防に繋がります。
気管支ぜんそく
日本では500万人もの患者がいるとされる疾患。小児ぜんそくだけでなく、大人になって再発したり、はじめて罹患したりするケースもあります。
- ゼーゼーという喘鳴
- 咳や痰が継続的に出る
風邪だと思って放置せずに早期治療を
慢性的な咳は薬での治療が必要です。風邪だと勘違いして中々診察を受けない人がいますが、危険なので早めに受診することをおすすめします。
アレルゲンに接するとすぐに咳が出ますが、この時にステロイドを吸引すると気道の病的な変形が防げ、呼吸が和らぎます。放置して悪化させると呼吸困難で死亡するケースもあるので、しっかり治療することを心掛けましょう。
風邪と気管支ぜんそくは別のもの
気管支ぜんそくの咳は慢性的に続き、過敏になった気道が、冷たい空気や運動、埃などの少しの刺激に反応、咳や呼吸困難、喘鳴などの発作が起こります。
風邪は数日で徐々に快方に向かいますが、気管支ぜんそくは咳が慢性化するのが特徴です。治療を受けて改善を目指しましょう。
高齢者のぜんそくは基本の治療をしっかりと
高齢者の気管支ぜんそくは重症化しやすいといわれています。その一因として挙げられているのが、肺活量が減ることで治療薬であるステロイドがしっかり吸入できていないことです。
処方された用量分を最後まで吸い込めているか、常に確認しながら治療を続けましょう。
後書き
以上が、様々なアレルギー症状ごとの対処法の紹介となります。
やはり、ひとくちにアレルギー症状とはいっても、それぞれで対処法が異なってきます。自分の症状に合った適切な対処法で、自分のアレルギーと向き合っていきましょう。