世界で一番人気の炭酸飲料といえば『コーラ』ですよね。おそらく、飲んだことがないという人はいないのではないでしょうか。
コカ・コーラ派やペプシ派で分かれたり、ゼロカロリーのものやフレーバーがついたものなど、コーラには様々なバリエーションが存在します。
そんなコーラですが、一体何が原料でどのようにして作られてきたかなど、その歴史は知名度の割にあまり知られていません。
なので、今回はそんなコーラの原料や歴史について詳しく紹介していきたいと思います。
元祖コーラの原材料
現在は違うのですが、昔の元祖のコーラを作る際にはコーラという植物の実『コーラの実』が使われていました。
このコーラの実は1~4%のカフェインを含み、噛むと強い渋みを感じられます。
嗜好品の多くが禁じられているイスラム文化においては唯一許された興奮剤でもありました。そのため、当時のイスラム文化圏では非常に高値で取り引きされていたそうです。
また、アフリカには今でも、客人をもてなす際にコーラの実を出す風習が残っている部族が存在しています。
コーラは薬として飲まれていた
有名な国内コーラメーカーといえば、『コカ・コーラ』と『ペプシコーラ』ですよね。実は両社ともに、元々はコーラを薬として販売していました。
薬としての成分は以下の2つとなります。
- コカイン
- ペプシン
コカイン
コカ・コーラの「コカ」の由来は、違法薬物である『コカイン』です。
コカは発見された当時、その依存性が認知されていなかったためにマイナスなイメージはなく、一般人にも普通に販売されていました。あの『シャーロック・ホームズ』も中毒になるほど使用していたと言われています。
しかし、その強い依存性が認知されるとたちまち麻薬として認定されてしまい、今では医療用麻酔としての使用しか認められていません。
コカ・コーラの誕生
そのようなコカインがなぜ「コカ・コーラ」の社名に使用されているのでしょうか。
実はコカ・コーラという飲料は元々、生みの親であるジョン・ペンバートンという人のモルヒネ中毒治療薬として開発されました。
これが思いのほか、鬱やヒステリーの治療薬としても需要があったようで、一般人の間でも大流行しました。これがコカ・コーラの始まりです。
しかしその後、コカインの有害性が明らかになり、1903年にコカ・コーラ社はコカインの使用を中止してしまいました。その代わりとしてカフェインが用いられるようになり、かつての名残として社名には「コカ」が残ったのです。
ペプシン
ペプシコーラの「ペプシ」の由来は、消化酵素である『ペプシン』です。
タンパク質分解酵素であり、コカインのように恐ろしい物質ではありません。
ペプシコーラの誕生
1894年に薬剤師であるケイレブ・ブラッドハムという人が消化不良の治療薬となる飲料を開発しました。ペプシンを含んでいたこの飲料は1898年に名前を変え『ペプシコーラ』として売り出されるようになりました。これがペプシコーラの始まりです。
いつからか、ペプシンは使用されなくなりましたが、かつての名残として社名には「ペプシ」が残ったのです。
現在のコーラの原材料
昔は本当にコーラの実を使って作られていたコーラですが、コスト的な問題もあり、現在では実ではなく葉から成分を抽出したものが主に利用されています。
※コーラの実や葉を全く使用していないメーカーもあるようです。
これに調味料や香味料である「砂糖」「シトラスオイル」「シナモン」「バニラ」などを加えたものが現在のコーラなのです。
今でもコーラは薬になるかもしれない
かつてのコーラには「コカイン」や「ペプシン」などの薬となる成分が入っていましたが、それが無くなってしまった今、コーラには薬としての効果は期待できないのでしょうか。
実は現在のコーラには、代わりとしてさらに増やされた成分があります。
それが『カフェイン』です。
カフェイン
元々、カフェインはコーラの実自体に少し含まれてはいましたが、「コカイン」と「ペプシン」が使用されなくなると、その代わりとなるようにさらなるカフェインが配合されるようになりました。
そんなカフェインには以下のような作用が期待できます。
- 鎮痛作用
- 利尿作用
これを考えると、現在のコーラでも少しは薬のような働きが期待できるのではないでしょうか。
鎮痛作用
カフェインは血管を収縮させる作用があるため、血流の悪化によって起きる頭痛に効果があります。
それゆえに、今でも頭痛薬や風邪薬にはカフェインが配合されています。
利尿作用
カフェインは脳を覚醒させ、一時的に血圧を上昇させてしまいます。
しかしそれと同時に、強い利尿作用で尿の量を増やし、血液の中から余分な水分を減らす働きも持っています。
これによって、血圧の上昇以上に血圧を下げる効果を期待できるのです。
コーラを感じさせる香りの正体
原料としてナツメグやラベンダーなどが使われていることもあるそうなのですが、これらの香りって普段飲んでいても全くわからないですよね。
実は、私たちの多くが「あ、これはコーラだ」と認識できる風味は『バニラ』と『シナモン』からきているらしいです。
「歯が溶けてしまう」という都市伝説
コーラには酸味も幾分か配合されていて、それはリン酸由来やクエン酸由来のものが多いです。
このような酸性の成分を含むという点に加え、砂糖を多量に含んでいることから、『コーラをたくさん飲むと歯が解けてしまう』という都市伝説が生まれました。
当然、ジュースなので歯には悪いのですが、歯が溶けてしまうということはありません。
ゼロカロリーの方が不健康かもしれない
通常のコーラには砂糖が使用されていますが、無糖やカロリーゼロと謳われているコーラには砂糖を使用しない代わりに大量の人工甘味料が使用されています。
人工甘味料は「独特の味がして苦手だ」という人も多いようで、本物の砂糖と比べて味の落差が大きいです。しかし、実は味の違い以上の大きな問題を抱えています。
最近の研究では以下のような症状が確認され、体に悪い可能性がある」ということが判明したのです。
- 心臓、肝臓疾患
- 卵巣の収縮
- 脳の肥大化
- 甲状腺機能の低下
- 赤血球の減少
- 成長阻害
普通の「コカ・コーラ(350ml)」は157.5㎉なのに対し、「コカ・コーラ ゼロ」は0㎉と、カロリーだけに目を当ててみると大きなメリットがあるように見えます。
しかし実際は、通常のコーラが持つカロリー以上の悪影響を体に及ぼしてしまうので注意が必要です。
後書き
以上が、コーラについてのお話となります。
コカインのことは知っていても、コーラの実や社名の由来については知らない人も多かったのではないでしょうか。
いつか、コーラの実で作られた元祖コーラも飲んでみたいものです。