よく魚料理などで登場するスズキ(鱸)。あなたは実物を見たことがありますか?
ハイランクのフランス料理や日本料理でも使われることが多く、魚釣り、中でもルアーフィッシングを中心に楽しんでいる方からしたら「シーバス(スズキ)は一番触れ合っている魚だ」という方もいるかもしれませんね。
それくらい身近な魚ですが、ひと言でスズキと言っても、実は3種類に分けることができるそうなのです。今回はその名前や違いについて紹介していきたいと思います。
それぞれの名前
3種類に分けられるスズキ、それぞれの名前は「ヒラスズキ」「マルスズキ」「タイリクスズキ」といいます。
3種類ともよく似ているために、あらかじめ知識を持っていないと全く違いに気付くことができません。
現に私は、シーバスフィッシィングの動画を観たり、自分でも釣り上げたりしましたが、全て同じ種類のものだとばかり思っていました。
それぞれの特徴
マルスズキ
北海道から九州まで広範囲に生息しています。多くの人が目にしたり、釣ったりするものはこのマルスズキです。
海水域はもちろん、汽水域や淡水域でも生息できるため、海から離れた河川などでも釣れることがあります。河川に生息している個体は、水や普段食べているエサのせいで身が臭くなりやすいです。火を通したり、臭みを消すような調理法で食べましょう。
見た目の大きな特徴として、体高が低く細長い点が挙げられます。目はヒラスズキに比べて少し小さめです。
第二背びれにある軟条は12~14本で少なめで、海水域にいる個体はグレーがかった体色をしていますが、汽水域や淡水域の個体は茶色がかった体色をしています。
ヒラスズキ
房総半島以南(関東より南)に生息していて、主に磯場に身を潜めています。
マルスズキのように汽水域や淡水域に入ってくることはほとんどないため、河川などで釣れることは滅多にありません。身はほとんど臭みがなく、刺身にはじまり、どんな調理法でも美味しく食べることができます。
左右に平たい体を持つためヒラスズキという名前が付けられました。体高が高く、尾びれの付け根が発達していて太いのも特徴です。また、比較的大型になりやすいため、小顔に見えることが多いです。目はマルスズキに比べて少し大きめです。
第二背びれにある軟条は15~16本で多めで、黒色がかったグレーの体色をしています。
タイリクスズキ
四国と九州にのみ生息していますが、元々は中国や朝鮮半島から輸入された魚です。養殖用の生簀が壊れて逃げ出した個体が繁殖してしまったようです。環境省から要注意外来生物に指定されています。
別名「ホシスズキ」とも呼ばれていまが、その理由は体にある黒い点が星のように見えるからです。日本在来種のスズキとは顔が大きく異なっていて、下顎が出ておらず、受け口になっていません。
第二背びれにある軟条は12~15本です。
※最近では生息域が被っているマルスズキとの交雑してしまい、マルスズキとタイリクスズキ両方の特徴を併せ持ったハイブリッド種も生まれてしまっているようです。一様の外見をしていないため、見分けるのは非常に困難だと言われています。
成長に合わせて呼び名が変わる
スズキは出世魚なので成長に合わせて呼び名が変わっていきます。
- ~20cm:コッパ
- 20~30cm:セイゴ
- 40~60cm:フッコ
- 60cm~:スズキ
※地域によっては多少呼び方が異なることがあります。
ちなみに「シーバス」という呼び方はサイズに関係なく、上記のもの全てを指します。
引きの違い
スズキが釣り針にかかったときの引きにも違いが表れます。
ダントツで引きが強く、釣り味が良いのがヒラスズキです。荒磯でエサを求めて泳ぎ回って、尾びれの付け根が発達しているだけのことはあります。
それと比べると、どうしてもマルスズキとタイリクスズキは引きが劣ってしまいます。こちらの2種類では引きの違いがほとんどありません。
釣り人であれば、できるだけ引きも味も良いヒラスズキを狙ってみたいですね。
後書き
以上が、3種類のスズキについてとなります。
釣り動画などで見て、見た目が大きくてカッコイイと感じるものはヒラスズキで、フランス料理や高級日本料理などにも使われるほどの身質をしています。
一方で、いまいちカッコよさを感じないものがマルスズキでした。やはり、こちらは釣り上げた瞬間から臭いものが多いようで、すぐにリリースしている動画が多かったです。
自分もこれから釣り上げる機会が増えるかもしれないので、ぜひこの見分け方を覚えておきたいです。