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ただの疲労ではない『更年期疲労』

豆知識
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世間で言われる中年期に入ってきた方で「疲れが溜まりやすくなった」と感じている方、多いのではないでしょうか?

周りに話しても自分で考えてみても、結局は「もう歳だしな…」という答えしか出てこずに悩み続けることがほとんどです。

しかし、その疲れは『更年期疲労』と呼ばれていて、解消できるかもしれないのです。まずは自分の症状をよく知り、一人で抱え込まずに周囲の理解を得ながら適切にケアしていきましょう。

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更年期に一番多い体の不調「疲れやすい」

一般的には、更年期というのは女性の「45~55歳」だと言われています。閉経に向かって女性ホルモンのエストロゲンの分泌量が不安定になったり、閉経によって不安定になることによって心身に不調が現れやすくなります。

病院の更年期外来を受診した患者の症状をランキング化したものでは「疲れやすい」が堂々の一位を獲得していますが、この「疲れ」というものは、更年期以外でも常に起こりうる症状なので、人によっては自覚しにくい場合もあります。

  • 【1位】疲れやすい
  • 【2位】肩こりがある
  • 【3位】物忘れする
  • 【4位】神経質である
  • 【5位】腰や手足が冷える

更年期に疲れやすくなる理由

自律神経失調症による血行不良

更年期女性の約7割の方が「疲れやすくなった」と感じています。この原因はまだ詳しく解明されていませんが、自律神経の乱れによって『血行不良』が起こってしまい、臓器の機能や体温、睡眠の質の低下などが重なって起きているのではないかと考えられています。

更年期に自律神経が乱れてしまう原因

そもそも、なぜ更年期に自律神経が乱れてしまうのでしょうか。

女性ホルモンの分泌の指令を出している脳の『視床下部』が自律神経もコントロールしているのですが、更年期になって女性ホルモンの分泌量が減少してしまうと、この視床下部に乱れが生じてしまい、自律神経のコントロールができなくなってしまうのです。

更年期疲労は一般的な疲労とは違う

一般的な疲労は、休息をとれば回復するものですが、更年期疲労はそうではありません。

自律神経の乱れが原因で起きているので、どれだけ休息をとっても疲れが抜けず、四六時中疲れを感じてしまいます。「すぐに疲れてしまう」「体が思うように動かない」といった症状も同様です。

ただし、このような疲労感や倦怠感は他の病気にも見られる症状なので、まずは病院を受診することをお勧めします。

更年期疲労と間違いやすい病気

女性が疲労感をおぼえた場合、多く見られるのが『貧血』や『甲状腺疾患(橋本病、バセドウ病)』です。その他、下記に挙げているような病気でも疲労感や倦怠感を伴うことがあります。

貧血鉄分不足が原因で、疲れ、肩こり、めまい、顔色の変化、爪が割れるなどのトラブルが起きる。
甲状腺疾患免疫機能の異常によって起こる自己免疫疾患。橋本病とバセドウ病が代表的。
副腎疲労大きなストレスが原因で副腎が疲労してしまい、抗ストレスホルモンが分泌できなくなってしまい、疲労感が現れる。
肝臓の病気急性、慢性どちらの肝炎でも疲労感と倦怠感が現れる。黄疸の症状が現れることも。
腎臓の病気慢性肝炎で倦怠感が現れる。血尿やむくみなどの症状も。
慢性疲労症候群原因が不明な疾患で、寝込んでしまうほどの強烈な疲労感が長期に渡って続く。

『抑うつ』の可能性も

身体的な疲労感や倦怠感だけではなく、気力が湧かなかったり、憂鬱な気分がずっと晴れないという方は更年期特有の『抑うつ』の可能性があります

更年期になると急激に減少してしまうエストロゲンには、幸せホルモンと呼ばれる『セロトニン』の分泌を促す働きがあります。なので、エストロゲンの分泌が減ってしまうということは、セロトニンの分泌も減ってしまうのです。

このような状態に多大なストレスなどが加わると、抑うつの症状が起きやすくなってしまいます。

抑うつの改善法

抑うつの改善に効果的なのは漢方薬です。中でもよく用いられるのが『半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)』という漢方薬で、抑うつの症状でよくみられる『のどの違和感』の改善も期待できます。

『うつ病』の可能性も

抑うつの症状は『うつ病』と見分けるのが非常に難しいです。抑うつの症状に加えて「自殺願望がある」「感情が動かない」「不眠が続く」などの症状がある場合は、抑うつではなくうつ病の可能性が大なので、必ず精神科を受診しましょう。

いつまで心身の不調が続くのか

更年期が訪れるタイミングは人によって様々です。なので、いつ頃に心身の不調がなくなるのかは分かりません。しかし、今起きている症状で更年期の前半なのか後半なのかを判断することができます。

更年期前半の症状

閉経前の40代半ばからの早い時期に見られる症状はエストロゲンの低下によって起こります。疲労感やホットフラッシュ(のぼせ、火照り)が代表的な症状です。これに加えて、年代的に家庭や職場からのストレスが大きくなり、抑うつ症状なども起きやすくなります。

※不眠、イライラしやすいなども。

更年期後半の症状

閉経後の50代半ばからの遅い時期に見られる症状はエストロゲンの分泌がなくなることによって起こります。関節痛や性交痛などの他、骨粗鬆症や生活習慣病にもなりやすくなります。

※皮膚の乾燥、肩こり、腰痛、萎縮性膣炎、尿失禁、動脈硬化なども。

病院で治療できるのか

現代社会の女性10人中4人が、病院での治療が必要なほどの更年期症状を抱えていると言われています。しかし実際に診察を受けて治療を受けている人はそれほど多くありません。

更年期疲労にはまず漢方薬が処方され、効果がみられない場合にはHRT(ホルモン補充療法)を行って改善を図ります。これらを行うことによって症状の緩和、改善が可能です。

漢方薬

漢方薬は、自分の体質や症状に合ったオーダーメイドの処方をしてもらえる点、直接的な薬の力だけではなく、体の自然治癒力を引き出して根本的に更年期症状を改善していける点で非常に優秀です。

女性の生殖にまつわる不調や抑うつ、イライラなどの精神症状にも効果があると言われていて、昔から治療に用いられています。

※更年期症状に用いられる三大漢方薬は『当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)』『桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)』『加味逍遙散(かみしょうようさん)』と言われています。

HRT(ホルモン補充療法)

HRT(ホルモン補充療法)は、更年期を迎えて女性のからだの中で分泌が低下してゆくエストロゲンを薬で補う治療法です。ホットフラッシュや初期の不眠症状に対して、非常に効果が期待できます。

様々なタイプが開発されていて、体に貼るパッチタイプや、皮膚に塗るジェルタイプなどが存在します。自分に合ったタイプを処方してもらいましょう。

家族に理解してもらおう

女性なら誰しも訪れる更年期、どのような症状が現れるのか、どのような対処法や治療法が存在するのかを学ぶ必要があります。そして、それを自分の家族や職場の同僚など、周りの人にも理解してもらうことが重要です。

どうしても家事ができなかったりイライラをコントロールできないこともあるので、この時に周りの人からの理解がないとお互いの関係にヒビが入ってしまうでしょう。

更年期疲労を改善するためのセルフケア

更年期症状の改善には血行をよくすること、自律神経を整えることが重要になります。家庭で自分で出来る、具体的な改善方法をいくつか紹介していきたいと思います。

入浴

家庭で最も簡単に出来る方法が『入浴』です。じんわりと汗をかくくらいの温度のお湯にゆっくりと浸かり、芯から体を温めましょう。そうすることによって血行がよくなります。

さらに、入浴後に1時間ほど過ぎると、上がった体温が自然と下がり、気持ち良く入眠することができるので、不眠の症状に困っている場合にも効果的です。

早寝早起き

更年期で乱れてしまった自律神経を整えることも大切です。その基本となるのが『早寝早起き』です。夜は遅くとも0時には寝て、朝は6時に起床するのが理想的です。

不眠で困っているという人はまずはこの、起床時間を一定にすることから始めてみましょう。

そして、起きたらすぐにカーテンを開けて日光を浴びましょう。そうすることによって、体内時計もリセットされて睡眠リズムを整えやすくなります。

運動

ヨガやストレッチ、ウォーキングなどの自分に合った強度で続けることができる運動を始めましょう。

血行改善だけではなく、更年期に衰えがちな骨や筋肉の健康維持にも役立ちます。また、体に程よい疲れが溜まることで、夜にぐっすりと眠ることも出来ます。

後書き

以上が、更年期疲労についてとなります。

女性は更年期になると誰しもが悩む問題ですが、男性の方は症状をよく理解していない人が多いです。ましてや自分の体のことなのに、ただの疲労感だからということで我慢している女性も少なくはありません。

そういった場合にはとにかく病院で診察を受けてみることをお勧めします。結果が出ることによって、症状の改善や周りの人からの理解に繋がります。

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