この世界は様々な職業で溢れています。
精神的負担が大きい職業、肉体的負担が大きい職業、それぞれの職業で負担がかかる部分が異ないます。
そんな中で最も避けたい「命への負担が大きい職業」がいくつか存在します。
それは『教師』『パン屋』『鉄工所の職人』です。
この3つの職業には一体どのような共通点があるのでしょうか。
今回はその共通点となぜ命への負担が大きいと言われているのかについて詳しく書いていきたいと思います。
3つの職業の意外な共通点
『教師』『パン屋』『鉄工所の職人』
一見するとバラバラで何の関係もないように見える3つの職業ですが、実は意外な共通点があります。
この3つの職業は細かい粉が舞う環境で仕事をしているのです。
「教師はチョークの粉」「パン屋は小麦粉」「鉄工所の職人は鉄粉」を大量に吸入してしまう環境にあります。
では一体、このような細かい粉が人間の体にどのような影響を及ぼすのでしょうか。
これらの粉が体にもたらす影響
実は細かい粉が舞う環境で普通に働いているだけであれば、体への影響はほとんどありません。
それだけで早死にしてしまうのであれば、他にも様々な職業が早死にしやすい職業に選ばれてしまいます。
この3つの職業が「命への負担が大きい」職業として挙げられる理由は舞っている粉の成分にあります。
教師:チョークの粉
チョークは『硫酸カルシウム(石膏などの成分)』からできているものと『炭酸カルシウム(貝殻などの成分)』からできているものがあります。
炭酸カルシウムには毒性はないのですが、硫酸カルシウムからできているチョークの粉は吸い込んで肺に蓄積されることによって『肺結核症』や『肺繊維症』を引き起こします。
また、青色のチョークに含まれている銅は肺ガンのリスクをさらに高めます。
肺繊維症について
「呼吸」とは、吸った空気を末端の肺胞まで運び、間質の中を流れる毛細血管の血液に酸素を与えるための作業です。この間質に炎症が起こり、厚く硬くなってしまった状態を繊維化と呼び、この繊維化の進んだ状態が『間質性肺炎』となります。
間質性肺炎がさらに酷くなると、肺は多数の穴が空いたような状態『蜂巣肺』となってしまい、どれだけ新鮮な空気を体に取り入れても酸素が血液中に取り込まれなくなってしまいます。ここまで病状が進んでしまうと『肺繊維症』と呼ばれます。
その結果、労作時の息切れ、咳込みなどが症状として現れます。進行はゆるやかで症状も比較的気付きにくいものばかりなので、病気だと自覚した段階では重症となってしまっている場合が非常に多いです。
パン屋:酵母入りの小麦粉
パンの原料である小麦粉。これに酵母(イースト菌)を加えてパンは作られているのですが、酵母は真菌であり、言ってしまえば一種のカビです。
パン屋さんは酵母、つまりカビ入りの粉を毎日吸ってしまうことによって『肺臓炎』や『肺ガン』のリスクが跳ね上がってしまいます。
またパン屋は、小麦粉を扱い続けることで小麦アレルギーになってしまうことでも有名です。こちらも患ってしまうと呼吸器系への負担が大きく、結果的に寿命が縮まりやすくなってしまいます。
小麦アレルギーの本当の原因
パン屋は小麦粉を扱い続けることで小麦アレルギーになってしまうと言われていますが、実は小麦によるものではない可能性も指摘されています。
日本で流通している小麦粉の90%近くは外国からの輸入品ですが、これらには出荷される前に殺虫剤が振りかけられています。日本では収穫後の作物に農薬を振りまくことは禁止されていますが、輸入品にはこの法律が適用されないのです。いわゆる『ポストハーベスト問題』です。
パン屋で働いて小麦アレルギーを患ってしまった人が国産小麦を扱うパン屋へ転職したところ、全くアレルギー症状が出なくなったケースがあるそうです。この原因を考えてみると輸入小麦の残留農薬によってアレルギーが引き起こされている可能性が高いのです。
鉄工所の職人:鉄粉
鉄材を扱った作業で舞う鉄粉は普通のマスクでは防ぐことができず、完全に遮断することは難しいです。
吸い込んでしまった鉄粉は肺の中に蓄積され、『肺癌』『肺炎』『じん肺』を引き起こします。
じん肺について
鉄粉が引き起こす病気の中でも、この『じん肺』は特に問題視されています。
息切れ・咳・痰が増えるなどの初期症状に始まり、長い年月をかけてゆるやかに症状が進行するのですが、最終的には呼吸困難などを引き起こし、気管支炎・肺癌・気胸などの合併症にもかかりやすくなってしまいます。
じん肺は症状の進行がゆるやかなため、気付いたときには重症となってしまっている場合が非常に多いです。
共通して気管支喘息に注意が必要
また、この3つの職業が共通で気を付けないといけないのが『気管支喘息』です。
喘息は気管支がアレルギー反応で炎症することによって起こります。日常的に粉を吸い続けることで新たに発症する病気ではないのですが、先天的に喘息の素質を持っている人は多いです。
そのような人がこの3つの職業に就いてしまうと、初めてアレルギーの許容量を超えて喘息が発症してしまい、苦しみながら仕事をすることになってしまいます。
また、仕事の疲れやストレスで体が弱ってしまうとアレルギー反応も出やすくなってしまうため、さらに喘息は発症しやすくなってしまいます。
不安な方や少しでもアレルギーに対して心当たりがある人は、病院でアレルギー検査を受けましょう。
粉の対策
これらの症状を防ぐにはそれぞれの職業に適した対策が必要です。
パン屋と鉄工所では『高機能マスク』を着用することによってある程度の対策が可能です。
しかし教師は教室中の生徒に声を届ける必要があるために常日頃からマスクを着用することができません。
そんな教師にとって唯一の対策となるのは『うがい』です。気管に入ってしまったチョークの粉をうがいで出来る限り洗い流すことで、マスクほどではないですが肺に入ってしまう粉の量を減らすことができます。
うがいでの対策はマスクをすり抜けてしまうような粉に対しても有効なので、パン屋や鉄工所で働いている人もマスクでの予防と併用することをおすすめします。
後書き
以上が、早死にしやすい職業とその理由になります。
教師はチョークの粉への対策が難しいですが、黒板がホワイトボードに替わりさえすれば、何も心配要らなくなるんですけどね…。
都会の学校ではすでにホワイトボードが導入されているらしいので、早く全国に広まってほしいですね。