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『ペットボトルキャップ』にある小さな切れ込み

豆知識
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「喉が渇いたなぁ」

そんなとき、道端にある自動販売機は非常に便利ですよね。

自動販売機で売られているボトルタイプの中でも『ペットボトル』は何度も蓋(キャップ)の開け閉めができて携帯性に優れているため、缶や瓶の飲料よりも選ぶ機会が多いと思います。

そんなペットボトルですが、実はよく見ると「キャップに小さな切れ込み」があるのです。気付いたことがある方も多いのではないでしょうか。

今回はこの「ペットボトルキャップにある小さな切れ込み」についてのお話です。

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切れ込みの名称

まずは実際に切れ込みがどのようなものか見てみましょう。少々見辛いですが、矢印部分にピッと切られたような切れ込みが確認できるかと思います。

この切れ込みには正式な名称があり『ベントホール(スリット)』と呼ばれています。

よく見ないとホコリと見間違えるほどの小ささですが、すべてのペットボトルキャップにこの穴(切れ込み)が入っています。

ベントホールの役割

では、なぜこのような切り込みが入っているのでしょか。ベントホールの役割とは一体何なのか、その真相に迫っていきましょう。

このベントホールの役割はいくつかあるのですが、一番大きな役割は「内容物をボトルに詰めた後に飲み口のネジ部分を洗い流すこと」です。

しかし、そうは言われても「こんな小さな切れ込みでどうやってネジ部分を洗うんだろう」って不思議に思いますよね。

飲み口のネジ部分の洗浄方法

製造工程の話になってしまうのですが、飲料をペットボトルの中に詰める際の温度は約80℃と非常に高温となっています。

この高温によって内部圧力とキャップの温度が上がり、自然とベントホールの口が開きます。これを上手く利用することによって、洗浄液(消毒液)をかけるだけでキャップを閉めたままでも飲み口のネジの部分を簡単に洗浄できるのです。これと同時に余分な圧力を逃がすこともでき、高温や炭酸によるペットボトルの破裂も防いでいます。

※洗浄液は人間の体内に入っても問題ないものが使用されています。

この高温によって開いたベントホールは、冷めるとまた自然と閉じていきます。なので一般消費者の目の前に並ぶときには、すでにベントホールは「完全に閉じている状態」になっているのです。

ペットボトルの再利用には注意が必要

ベントホールは熱によって開きます。

これは製造工程でだけ起きる特別な現象ではないので、家庭で空になったペットボトルを再利用する場合にも同じことが起きてしまうかもしれないのです。

つまり、熱々のお茶などをあまり冷まさないで詰めてキャップをしてしまうとベントホールが開いてしまう危険性がありるということです。

この状態でペットボトルを逆さまにしてしまうと、開いたベントホールから飲料がこぼれてしまい火傷(やけど)してしまうかもしれないので注意が必要です。

ベントホールが生まれたきっかけ

今でこそペットボトルの飲み口のネジ部分は洗浄されていますが、昔のペットボトル飲料は洗浄されていなかったようなのです。

では、どのようにして洗浄が始まったのでしょうか。そのきっかけとなった飲料は意外にも『お茶』だったそうです。

飲料といえば缶が主流だった時代に「ペットボトルのお茶」が登場し、段々と流行り始めたのですが、製造会社はネジ部分に茶渋が着いて茶色くなってしまうことに頭を悩ませていたそうです。

そこで考案されたのが『ベントホール(スリット)』でした。これが上手くいき、今でもずっと同じ製造方法で作られています。

キャップタイプによる違い

ペットボトルキャップって同じメーカーでも少しずつデザインが違っていますよね。

これも長年謎だったのですが、飲料メーカーはこの疑問に対して次のように答えています。

「ペットボトルキャップは下のリング部分と合わせて密閉状態を保つためについています。内部の飲料によっては通常のキャップだと問題が起きてしまうので、対策を施した様々なタイプのキャップが存在します。」

なるほど、様々なタイプが存在するのですね。それではそれらを紹介していきます。

出典:https://www.kirin.co.jp/

A:耐熱性のキャップ

通常のキャップは高温に晒されると酸素透過性が増大してしまい内容物の劣化が起きてしまいます。

耐熱性キャップは特別に厚めにしたり、内面にDLC(ダイヤモンド・ライク・カーボン)加工を施したりすることによって、酸素透過性の変化とそれに伴う内容物の劣化を防いでいます。

ペットボトル側にも特殊な加工が施してあります。白い飲み口のものが耐熱性を高めたペットボトルになるのですが、実はあれは透明の飲み口と全く同じ素材を使用しているのです。

通常の透明なものを加熱していくとどんどん収縮して白く結晶化します。こうなると高温に晒されても変形しなくなるので、耐熱性キャップと併せることによって完璧な密閉性を実現できます。

出典:https://www.kirin.co.jp/

B:耐圧性のキャップ

その名の通り、圧力に耐えることができるので「炭酸飲料」に使用されます。

他のキャップとは違って少し中心部分が盛り上がって球面になっていますが、これが内部からかかる圧力を受け止めるのに都合が良い形なのです。

また、内面を見てみるとサイド部分にも突起があり、ペットボトルのネジ部分と、より密着するような作りになっています。これによって炭酸が抜けるのを出来る限り防いでいるのです。

ペットボトル側にも特殊な加工が施してあります。開栓時に炭酸がスムーズに逃げるようにネジ部分に縦の溝が入っています。これがないと、開栓時に内容物が噴出する危険性が高まってしまいます。

出典:https://www.kirin.co.jp/

C:普通のキャップ

普通のキャップについては何も説明することがないですね。なので補足をしておきます。

これらのような「キャップの密閉技術」はメーカーごとに異なっているようで、それぞれでノウハウが全く違っていたりする場合もあるそうです。

今回は『KIRIN(キリン)』さんの例で紹介させていただきましたが、他のメーカーとの違いを調べてみるのも面白いかもしれないですね。

後書き

以上のように、私たちが普段何気なく飲んでいるペットボトルには、よく見ないと気付かないような秘密がたくさん隠されています。非常に面白いですよね。

ベントホールが開いてしまうかもしれないので、再利用のときの温度にだけは気を付けて、便利なペットボトルとの生活を送っていきたいと思います。

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